尊敬する書家「兜坂香月」先生が4月30日の神戸新聞に載りました。
じろりんが先生の詩に曲を付けております。
兵庫県姫路市在住の書家兜坂香月(とさかこうげつ)さん(95)が、10代のころから書きためた短歌などを収めた作品集「遺(のこ)したい、私の和歌 俳句 詩」を出版した。「私の人生の集大成。好きな作品を厳選した」と話す。
兜坂さんは14歳の時に書道を始め、短歌や俳句も同じころに始めた。書と同様、特定の師匠にはつかなかったが、ラジオの短歌・俳句番組で入選したこともある。
作品集には、短歌104首、俳句10句、詩9編を収録。深く心に刻まれた出来事や故郷に対する思い、社会事象に対する悲しみや怒りが込められている。
戦時中、旧満州への出征が決まり、生きて帰らない覚悟で詠んだ歌も。
故郷よ 母よさらばと 打ちならす 旗は祖国の 見えずなるまで
戦後は旧国鉄に勤め、文芸誌発行など文化活動に打ち込んだ。日本書道院展などで受賞を重ねた後、書道界とは距離を置いたが、毎日筆を握り精進した。
さまざまな文芸に通じた「文人」を自負し、書の題材には自作を選ぶ。「他人の言葉を書にするのは“習字”にすぎない」との信念からだ。思うがままに走り続けた人生。近年の歌には満足感がにじむ。
もう一度 この世に生れ 来りなば 再び同じ 道をあゆまん
書18点も合わせて掲載。また、長年収集してきた古美術品などの写真とエッセーも収めている。
兜坂さんは「書家は一生で佳作を10点遺せればいいという。後世の目にとまればうれしい」と話す。
214ページ、200部を出版。販売はしないが、姫路市などの図書館に寄贈する予定。(田中伸明)