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Channel: 『姫路のじろりん』のブログ
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望野智(もちのさとる)先生

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望野智(もちのさとる)先生の巻
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 私のイベントや舞台演出に関して、最も影響を受けているのが望野先生です。
 望野先生は、大阪万博の展示館の設計・施工。日生劇場の舞台装置の設計。教祖百年祭・『元の理館』の設計の他、遊園地の遊戯施設の設計や「ゴジラ」などの映画の特撮など幅広く手掛けておられました。
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先生は私が高校二年生の時、催された『演出・スタッフ講習会』の講師でした。私は初めて『係員』を『スタッフ』と呼ぶ事を知り、その響きが新鮮に感じました。
 ロシアの舞台芸術に造詣が深く、今では誰でも知っている『イベント』や『エンターティメント』という言葉も初めて講演の中で聞いたのです。
 特に印象に残っている言葉は『インボルグ』という言葉です。包み込むという意味で、お客さんが劇場へ入った瞬間から演出は始まっている。単に開演までの時間を只待つのではなく、高揚する程ウキウキとする時間と空間をつくるのが演出だと教えられました。


 高校卒業して上京するに当たり望野先生にお世話になりました。当初、知人のフランキー堺さんの付き人にという話もありましたが、私が「演出の勉強もしたい。」と言っていましたので日生劇場の大道具を紹介して下さったのです。
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 芸能界というのは、もっと派手な世界だと思っていましたが、毎日劇場の片隅の大道具の控室にいるのが息苦しくて、いつも舞台袖から舞台を眺め、「いつまでこんな生活が続くのだろうか、いくら一流の舞台でも、見ているだけでは何の意味もないのではなかろうか。」と、いつも焦る気持ちで舞台を見つめていました。
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 越路吹雪さんのコンサート、劇団四季のミュージカル、東宝ミュージカル、イギリスのロイヤルシェイクスピア劇団、中国の上海舞劇団、人間国宝・尾上松緑さんの舞台、松竹舞台では西村晃さんの付き人で勉強中の市村正親さんにも出会った。沢田研二・布施明・森山良子さんのコンサートにも裏方として立ち会った。
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 後に大竹しのぶさんの「にんじん」という音楽劇も日生劇場で鑑賞して楽屋にもお邪魔した。
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       当時は、先輩から怒鳴られてばかりで、良い思い出はないのですが、今となっては何物にも代えがたい貴重な体験をさせて頂いたと思います。
 先生の自宅は四谷駅前にある、秀和レジデンスという大きな新築マンションでした。招かれて、生まれて初めてマンションという建物に入りました。そして先生に近況を報告し、色々とアドバイスやお話を伺いご馳走になりました。
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(1972年。上京した頃、先生のマンションでご馳走して頂きました。じろりん19歳)

  劇場には先生の息の掛かったスタッフも居られ、上京した当時、陰になり日向になって見守っていて下さっていました。

 大道具をやめた後、舞台やテレビやアルバイトで忙しくなり、すっかりご無沙汰してしまいましたが、1998年に残念ながら先生は惜しまれながら亡くなられたことを、風の便りで知ったのでした。ご無沙汰を詫びるばかりです。
 

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